『腕が痛いのですか?』
『えっ…?… あっ… きゃっ! 』
溢れる涙を腕の痛みと勘違いしたのか、頬を伝う涙を指で掬いながら私に問いかける八千草さんに、感じすぎて溢れた涙だとは言えない私はいきなりうつぶせにと転がされてしまいました。
『あぁ…こんなに赤くなって… あんなに暴れるからですよ。』
私の手首をさする手に、今更ながら私は抜けそうに痛む肩や、痺れ始めた指先に気づいたのです。 そして…尖った乳首に触れるシーツの冷たさに私の躯がどれほど熱く疼いているのかにも、気付かされたのです。
『大人しくしているなら、決してその躯を隠さないと約束するなら、解いてあげても良いですが…?』
『えっ…そんな……』
『まあ、このままでも大丈夫ですよ。 手を傷めて不自由になっても、全部私がお世話してあげますからね。 食事も、排泄も…私に任せてください。』
『そんな…っ… 解いてください。』
『じゃあ、その可愛い手は私が言った所に置いておくんですよ。』
『…は い…』
このまま自由を奪われたまま、弄られ続けたらどうなってしまうか分からない私に、大人しくして色というほうが無理なのです。 けれども、このまま縛られ続けて腕が使えなくなってしまったらという恐れに、私は約束するしかなかったのです。 ようやっと縛めを解かれた私の手をゆっくりとさすられながらも無防備な背を晒していることが私を落ち着かなくさせます。 躯を隠すことを禁じられた私のせめてもの慰めは薄暗く照明を落とした部屋でした。 けれども…
カチリ
いきなり頭のほうに腕を伸ばした八千草さんに戸惑う間も無く、煌々とついた灯りにぎゅっと瞳を瞑った私のお尻の上を冷たい手が撫で回すのです。
『ほぉ… やはり 色の白い貴女に黒のシーツが良く映える… それに…この手触り…』
『いやっ… 』
ほうと溜め息をつきながら、掌全体で味わうかのような動きに、思わず跳ね起きそうになった私は次の瞬間、
パチン!
肉を打つ音と鋭い痛みに私の躯は動きを止めたのです。
『きゃっ 痛っ!』
『大人しくしなさい。』